あやぴーの成長日記

200710(82ヶ月 )

 

PCでも絵を描くのがお気に入り。グーフィーのぬいぐるみを写生中です。)

 

 

101日(陸上三回目)

 

お昼に迎えに行く。ようやく筋肉痛から解放されたので階段もラクラク。今日は月曜日恒例のdictée(ディクテ=先生が読み上げるものを書き取るテスト)があり、あやぴーはkermesse(ケルメス=お祭り)という単語が書けなかったと悔しそうだった。ケのところを「qué」と書いてしまったらしい。私もディクテの難しさや単語を覚える苦労がよくわかるので、「ディクテって大変だよね。」と一緒に頷いてしまった。

 

家に帰って日本語の勉強。あやぴーは漢字をいくつか間違えて悔し涙を流したが、長文読解は良く出来たし、教科書に出ている『スイミー』の朗読も日増しに上手になってきた気がする。まだ習っていない漢字もあるが、何度か繰り返していくうちに「海」とか「色」とか書けなくても読める漢字が出てきた。なんかうれしい。今日もよく頑張ったと思い切り誉めてから、日本のババに電話をかけた。あやぴーは嫌がった割にはよくしゃべっていたが、母は話し足りなかったらしく、「あやちゃんはすぐママに変わっちゃうんだから!全く!」と文句を言っていた。

 

お昼ご飯は和食。ふりかけご飯と昨日仕込んでおいた野菜たっぷりの肉ジャガ、そして日本で頂いたものを持ち帰ってきた国産キュウリの漬け物。胃の調子がいまいちなので少しで十分。あやぴーは「サンドイッチが良かったのに。」とブーブー言っていたが、その割りにはよく食べてくれた。

 

午後は競技場。今日も付き添いである。先生は列の一番前。私が一番後ろ。最後の生徒はあやぴーとルイーズだったのだが、あやぴーは「ママが来てくれるのはとってもうれしい♪」としおらしいことを言っていたくせに、とてもよそよそしい態度で、私には全く話しかけてこなかった。その分、ルイーズがこれでもかというほどおしゃべりしてくれたので、競技場に着く頃には既にげっそりな私だった。(やっぱり大人の方が好きかも〜。苦笑)

 

先週同様、走り幅跳びからスタート。何度か練習をした後、今日は記録を測ることになった。先生がメジャーを持ってきたのである。私もお手伝いに加わった。先生が「ジャンプする線を越えてしまった子はゼロですからね!」と厳しく言い渡したのだが、それでも何人かは線を越えてしまった。残念。あやぴーは練習の時よりいまいちだったが、2,78mだった。一番はレアで3,13m。次がエステバン(一年生の時からあやぴーに片思い中)で3,09m、三番目はステファニーで2,98mだった。いつもみんなの見本として先生から指名を受けるジャン・マニュエルは今回は奮わず、あやぴーと同じくらいの記録だった。生徒達はどの子も真剣で、他の子の記録にも敏感。おしゃべりしたりふざける子はほとんどなく、かなりまとまっていた。先生もうれしそうだった。

 

水分補給タイムを経て、持久走に移動。今日は先週より1分増やして5分間走ることになった。男の子達は相変わらずものすごい勢いで走り出していったのだが、女の子達は群れをなし、みんなでゆっくり走っていた。戻ってきた順に水道へ行き、水分補給。その後、400m走に初トライした。先生から、今回は持久走と違ってトラックを1周だけすること、あまり速く走って途中で疲れてしまってはいけないけどある程度は速く走ることなど、何点か注意があった。第一グループがスタート。エステバンとジャン・マニュエルの対決にハラハラしたが、エステバンの勝利で終わった。続いて第二グループ。男子と女子の混合だったが、女子マノンが圧勝。あやぴーは第三グループだった。スタートが遅すぎたせいか、ラストスパートをかけたものの、ティファニーを抜けなくて2位だった。でも400mをちゃんと走り抜いただけでも大したものだと思う。みんなに拍手!

 

全部のグループが終わると、それぞれのグループで1位だった子が呼ばれた。そして、また走ることになった。王者決定戦である。その中に何故かジャン・マニュエルがいたのだが、最後はまたエステバンとジャン・マニュエルとの戦いになった。あと10メートルというところでエステバンが転び、今度はジャン・マニュエルが1位だった。二人は仲が良いらしく、「これでおあいこだね。」と言い合っていた。あやぴーは女子チームで再走したのだが、そのグループには何故か男子トフィックが入っていた。唯一の男子ということで、トフィックがダントツ速かったのだが、ゴールに近づくにつれ、一人の女の子が猛スピードでトフィックに近づいてきた。あやぴーじゃないですか!キャ〜!!!私が大騒ぎすると、他の子もみんなあやぴーに気がついた。そして、「Aya ! Aya !」と大合唱が始まった。トフィックも負けじとスピードを上げたので追いつかないかもしれないと思ったが、ゴール寸前で奇跡が起こった。あやぴーが胸をつきだしてジャンプをし、先にゴールを踏んだのだ。キャ〜!!!!!私も、女子軍団も、先生も、誰もかもが叫んだ。「すごいよ〜。あや!」、「トフィックに勝ったよ!」、みんながあやぴーを囲んだ。ふと後ろを見ると、トフィックがとぼとぼと水飲み場に向かうのが見えた。「ごめん、トフィックにしてみればおもしろくないよね。でも今度君が1位になったら、同じくらい喜んであげるからね。」と私は心の中でつぶやいた。

 

しかし、今日は盛り上がった。走り幅飛びと言い、400m走と言い、見ごたえがあった。子供達は相当疲れたようだが。。。帰り道、一番後ろはまたあやぴーとルイーズだった。あやぴーも疲れていたのか今回は甘えっぱなしで、「ママと手つなぎたい。」とゴロゴロしてきた。先生に来週は用事があって付き添いができない旨を話すと、先生はその場でヨハンを呼び、「来週の月曜日、お母さんに来るように言っておいてくれる?」とお願いしていた。それを聞きつけた子供達から、「Pourquoi vous ne pouvez pas venir ?(プゥーコワ・ヴ・ヌ・プヴェ・パ・ヴニー?=何でこれないんですか?)」と質問攻めにあってしまった。来週は用事があるけど、再来週はまた来るからと答えると、「Ouéééé !!!!(ウエ〜!=ワーイ!)」と歓声が上がった。お子様達、ありがとうございます。。。涙。

 

学校まで送って行った後、急いでスーパーに買い物に行き、家に帰るとまたすぐ夕方のお迎えの時間になった。今日も教会の広場に寄った。私はマリーやナタリーと言ったいつもの女友達とおしゃべりしていたが、あやぴーは男の子達とは全く遊ばず、後からお父さんに連れられてきたルイーズと一緒にずっと過ごしていた。

 

 

1014日(秋の大運動会と栗の誕生日)

 

プロローグ

 

今日は秋の大運動会だった。コートダジュール日本語補修校が毎年この時期に開催する運動会には、外部の生徒も参加することができるので、我が家も数年前からほぼ毎年お邪魔している。ただ、今年は栗のお誕生日にあたってしまったため参加するかどうか悩んだのだが、栗が「自分は誕生日には興味がないから運動会でいいよ。」と言ってくれた。彼は本当にそういうタイプなのだ。お誕生日はまた別に祝うことにして、この日は運動会へ行くことになった。

 

運動会の会場は、ソフィア・アンティポリスにあるCIVCentre International de Valbonne)という有名なインターナショナルスクールの競技場。開始時間の10時にあたり、受付を945分までに済ませないといけないので、遅くても9時には家を出たい。6時半に目が覚めたのでヨガやメールチェックをしてからピクニックの準備を始めた。あやぴーも7時半頃に目を覚まし、8時過ぎに栗を起こした。栗に「お誕生日おめでとう!」と言って、みんなで朝ごはんを食べた。予定通り9時前に家を出た。今日は日曜日だからソフィアまでは30分もあれば大丈夫。ところが、予想外のことが起きた。車のエンジンがかからなかったのである。。。(汗)

 

何度かトライしてみたが全然ダメ。通りかかった近所の人が車を近づけてバッテリーをチャージしてくれようとしたのだけど、それもうまく行かなかった。先方の車はディーゼル車で、我が家の車はガソリンなので、もしかしたらそのせいかもしれない。あまり引き止めても悪いので、御礼を言って出発してもらった。急いでるいままに電話をかけ、運動会に遅れそうだと知らせておいた。でも、車は相変わらずうんともすんとも言わない。どうしよう。。。

 

そんな時、道端に男性が二人現れた。栗が声をかけると、ちょうど車を移動させるとのことだったので、お願いしてバッテリーをチャージさせてもらった。何度かトライした後、ようやくブルン、ブルンとエンジンがかかる音がして心が躍ったが、まもなくするとダウンした。それでも、可能性はありそう。気長に挑戦し続けていると、ようやくエンジンがかかった。涙。親切な男性に心から御礼を言い、車を走らせた。下り坂だったのだが、車はブオン、ブオンと不穏な音を立て、その度に車体が激しく揺れた。エンジンがかかったはいいけど、本当に大丈夫なのかな。不安に思い始めた。車内は無言だった。誰もがそう思っていたに違いない。。。

 

本当は近所のおいしいパン屋さんでバゲットを調達するはずだったが、車を停めたらまた動かなくなってしまうような気がして、そのまま通り過ぎることにした。しかし、やっぱり止まっておけば良かった。なぜなら、そこから300メートルもしないうちに車が止まってしまったのである。。。(涙)

 

バッテリーだけの問題じゃないかもしれないと栗が言い始めた。こんな時に遠出をするのは無謀ではないかと言う気が私もしてきた。運動会は諦めるにしても、この車をどうしよう。家に連れて帰らないといけない。そのためにはバッテリーをチャージさせてくれる人を探さないといけない。栗はヒッチハイクするかのように車の外に立ち、バッテリーチャージ用の赤と黒のケーブルを振りかざした。しかし、誰一人として止まってはくれない。急いでいるのかもしれないけど、みんな冷たいなぁ、、、とガックリし始めたところに、家族四人を乗せた小型車が近づいてきた。救いの神!?一家の主は颯爽と車を降りると、「バッテリー?」と声をかけてくれた。そして、手際よく自分の車のボンネットを開け、栗が差し出したケーブルをバッテリーにつないだ。栗もケーブルのもう片端を自分の方につないだ。エンジンをかける。ブルン、ブルン、プススス。。。一回目はうまく行かず、二回目もうまく行かなかった。私はるいままに電話をかけ、やっぱり今日は運動会に参加できないと謝った。「よりによってこんな日になんてついてないねぇ。」とるいままが言った。ほんとついてない。。。(涙)

 

しかし、三回目でエンジンがかかった。ご主人は栗に車から出ないように言い、ケーブルをわざわざ外してくれた。私はすぐさま外に出てケーブルを受け取った。彼はうちの車のボンネットも閉めてくれて、さわやかに車に戻っていった。「なんていい人なんだろう。私達もこうならなくちゃ。」と心から思った。どうもありがとう。彼らが出発した後、私達も走り始めた。でも運動会には行けない。目指すのは家である。そのとき、ハンドルを握る栗が思いがけないことを言った。「やっぱり運動会に行こう。なんとなく行けそうな気がするんだ。」・・・私は驚いた。でもうれしかった。「行こう!行こう!運動会に行こう!」。車内が一気に明るくなった。栗の予感は当たり、高速道路でも、その後も山道でも、車はスムーズに走ってくれた。途中からるいままに電話を入れた。「車が動いたから運動会に行きます。」と言うと、「良かったね〜。みんなで待ってます!」と励ましの言葉をかけてくれた。うん、良かった!毎年山奥の道で迷うのが定番の我が家なのだが、今年はるいぱぱが道を教えてくれたこともあり、一発で会場に着いた。パン屋を見つけることができなかったのは残念だったが、パンがなくても運動会に来れたのだから良しとしなければいけない。

 

 

運動会

 

競技場に入ると運動会はもう始まっていた。るいままのところで受付を済ませ、あやぴーのタンクトップに名前入りのゼッケンを張った。運動会の実行委員をしている知り合いが、「TOMOちゃん、車大変だったんだって?」「よく来れたねぇ!」「まだ幼稚園部の競技だから大丈夫だよ!」と次々に声をかけてくれて、とてもうれしかった。栗はるいぱぱを見つけると今朝のことを話し始め、私も友達を探し出して今朝の出来事を話した。誰もが「帰りは誰かしらの車があるから何かあっても大丈夫だよ!」と言ってくれた。来れて良かった!(涙)

 

しかし、栗も私もなんだか興奮が冷めず、既に一日のパワーを使い果たしてしまったかのような疲労度であった。どっちみち栗はひざのことがあって今年は競技に参加しないことになっていたが、私は栗の分も競技を頑張らなくてはならないはずだった。それなのに、綱引きに参加してもうまく力を入れることができず、あやぴーとの二人三脚でもダントツのビリ。友達が「写真を撮りに行かなくちゃ。」と言ったのを聞き、「そうだ!私もカメラを持ってきてたんだ!」と思い出す始末だった。頭が全然働いていない。。。(汗)

 

あっという間に最後の競技になってしまった。それはリレー。あやぴーもメンバーに組まれているようで名前を呼ばれた。子供達は列を作り、誰からバトンを受け、誰にバトンを渡すのか、係の大人から説明を受けていた。私も横にいてあやぴーのフォローをした。赤組が組、白組が組、合計組の対抗リレーはあやぴーのグループが先頭を切り、あやぴーの番になり、あやぴーは足が速いのでそのままトップでゴールに近づいた。三つ編みの女の子にバトンを渡すはずだったのだが、なんと違う組の子にバトンを渡してしまった。同じ赤組だけどもう一つのグループの子!!!「えええ〜っ!さっき三つ編みの子だって言っておいたじゃん。なんで違う子に渡すわけ?同じ赤組だけどいいのかなぁ。どうなっちゃうんだろう。」・・・一人やきもきする私をよそに、リレーはそのまま続いていった。運動神経抜群のジェレミー君がさらに差を広げ、一位は赤組のままリレーが終わった。

 

子供の後は父兄のリレー。こちらは赤組と白組、二手に分かれてなので間違えはなさそうだ。私は部外者なのであまりでしゃばらず、人数が足りなかったらヘルプに入ろうと思っていたのだが、「TOMOさんは絶対出てね!」とお声がかかったので、参加することになった。昨年はアンカーという華やかな役を頂いたので、今年はそれを友達のエミさんに譲り(というか押し付け。笑)、私はみんなの嫌がるトップを受け持つことにした。リレーに集まったママさん達の中には昨年一緒の組だったママもいて、一年ぶりの再会を喜びあった。みんな和やかな雰囲気。

 

スタートラインについてストレッチングをしていると、遠くの方でうちの栗とるいぱぱとフレッドが三人おしゃべりに講じているのが見えた。運動会の成り行きは全然見ていない様子。「ちょっと、ちょっと、私が走るって言うのに!」とジタバタしていると、エミさんがその様子に気付いてくれて、夫に声をかけてくれた。エミさんありがとう〜。白組代表のママさんもやってきた。私を見て「もしかして第一走者ですか?」と聞かれたので「そうです。」と答えると、ギョッとしたような顔になり、「お手柔らかにお願いします。」と上品な口調でお願いされた。私は「大丈夫ですよ〜。」と笑顔を返したが、そういうわけには行かない。私が頑張れば後に続く人が走りやすくなるから、そのためには全力疾走しなければいけない。スタートの合図が聞こえると、私はいつものように走り始めた。足は高く上げ、なるべく大きな歩幅で進めるよう、腕とお腹の筋力も集中させて全速力を出した。4分の3を過ぎたところで、ノリコさんの「TOMOちゃん、すごい!速い!」という声が聞こえたかと思うと、獣のような激しい叫び声が私を襲った。すごい声、これ絶対栗だよ。。。「んも〜っ!はずかしいじゃん!」と思いつつ、バトンをしっかり渡し、ようやくお役目を終えた。赤組女子はその後も大きなリードを保ったまま、男子に続き、赤組が無事勝利を収めることができた。

 

私は一緒に走った白組のママにお詫びに言った。お手柔らかにできなかったからだ。しかし、そのママさんも、彼女のご主人も、お義母さんも、怒るどころか「あなた、足が速いわねぇ!」と誉めてくださった。「この日のために一年間トレーニングしてきたんです。」と冗談を言うと、「そうでしょう、そうでしょう。」と頷いて感心してくださった。優しい人達である。

 

総合得点の発表になった。今年も赤組の勝利だった。昨年は白組だったので悔しい思いをしたが、今年は勝利の喜びを味わうことができた。みんなおめでとう!よく頑張ったね!!!懐かしい万歳三唱の後、子供達にマルセイユ日本国総領事館からのプレゼントと、スポンサーであるトヨタ自動車からのプレゼントが配布された。子供達は大喜びだった。こうして今年も運動会が無事に終わった。役員の皆さん、どうもありがとうございました!

 

 

ピクニック

 

運動会の後は恒例のピクニック。競技場の横にちょっとした林のようなところがあるので、めいめい持参したものをそこで食べることになっている。林の中には既に大きな輪ができていたが、私達はそこへは行かず、るいぱぱが選んだ少し離れた場所へ行くことになった。そっちの方が太陽がさんさんと降り注ぐし、芝生があるから良いと言う。最初はいいのかなと思ったが、結局五家族が集まったので、私達のところも大きな輪ができた。

 

メインはパテなのにパンがないという悲しい我が家のランチ。・・・と思いきや、るいままが「バゲット持ってきたから一緒に食べよう。」とわけてくれた。涙。すがちゃんにはおにぎりをもらい、るいぱぱのキノコのオムレツやセロリのサラダに舌鼓を打ち、るいままからめぐんでもらったバゲットにパテを挟んで食べた。あやぴーは鶏肉の唐揚げが気に入ってよく食べてくれた。私達もなんだかんだ言ってよく飲んでよく食べた。デザートも数種類あった。マルセイユから来たテオ君の手作りケーキに一同感激だった。

 

みんなコーヒーを飲み始めていたが、落ち着いたところでサプライズの準備。私は持参したガトーショコラにロウソクを立て始めた。風があってなかなか火がつかなかったせいで、栗が「何やってるんだ?」と言い始めた。やけくそでハッピーバースデーの歌を歌いだすと、るいぱぱがジョインしてくれて、残りのみんなも一緒に歌ってくれた。栗は自分のロウソクの火を自分で守りつつ、歌が終わったところでか細い火を吹き消した。40才のお誕生日おめでとう。ケーキを切り分けてみんなに渡す。栗は「おいしい、とってもおいしい。」と喜んでくれた。美食家のるいぱぱも「ちゃんとフォンダンになってる。」と言ってくれたのでホッとした。私が「ケーキがおいしいのは、作るときに「おいしくなあれ。」と愛情を込めたからだよ。」と言うと、栗はメチャクチャ感激していた。

 

男性達は昼寝を始め、女性達はおしゃべりに講じていると、いつのまにか私達だけになっていることに気がついた。他の人達はもう帰ってしまったようだ。私達もピクニック道具を片付け、そろそろ帰ることにした。遊具コーナーで遊んでいた子供達を呼び戻す。車のことが心配だったが、るいぱぱとフレッドも車を見てあげると言って一緒に来てくれた。

 

エピローグ

 

車は動かなかった。全くエンジンがかからなかった。不運なことにるいぱぱの車も、フレッドの車もディーゼル車で、バッテリーをつなぐことは無理だと思われた。困ったなぁと佇んでいると、うちと同じルノーの小型車がやってきた。この車だ!と思った瞬間、栗は既に車に向かって走り寄っていた。普段はノロマだけどいざと言うときは頼りになるのが栗のとりえ。年配のご夫婦に事情を話すと、バッテリーをチャージさせてもらえることになった。やった!今日大活躍の赤と黒のケーブルを再びトランクから取り出し、相手の車とこちらの車に取り付けた。これでOK。ワクワクしながら見ていると、車はうんともすんとも言わなかった。まったく音がしなかった。おかしい。。。何度かトライしていくうちに、このまま帰れなかったらどうしようという思いがふと頭をよぎった。ばかだなぁ、そんなことあるわけないじゃんと心の中で自分を励ましていると、その横であやぴーが全く同じことを口にした。「家に帰れなかったら車の中で寝るんだ。」とあやぴーはるい君に言っていた。そして、優しいるい君は「こっちの車に乗ってうちに泊まればいいよ。」と答えていた。るい君のこういう大らかできっぷの良い性格は両親似だと思う。るいままファミリーはホントいい家族だなぁと涙だった。そして、まだ知り合って間もないのに、当然のようにそこにいてくれるイネス&ジャンルイ一家の優しさにも感謝だった。彼らもいい人達に違いない。。。

 

ボンネットをのぞく栗、るいぱぱ、そしてイネス&ジャンルイのパパ、フレッド。ようやくブルンという音がした。それがブルン、ブルンと続いた。どうやら大丈夫そう。良かった〜(涙)。るいぱぱが赤と黒のケーブルを外してくれた。年配のご夫婦に御礼を言い、出発の準備をした。「心配だから高速の入口まで一緒に行くよ。」とるいぱぱが言ってくれた。車に強いるいぱぱが一緒だと思うと心強い。まず我が家が出発し、るいぱぱの車、フレッドの車と続いた。しかし、不運にもそこは上り坂だった。ブルン、ブルンというエンジンの音がブオン、ブオンに変わり、それに伴い車が激しく揺れた。行きと全く同じパターンである。やばい。これ以上は進めないかもしれない。。。

 

栗は近くのパーキングに車を入れた。るいぱぱとフレッドも後に続いた。エンジンは消さず、そのまましばらくこのままで待つと言う栗。私はちょっと心配だったが、あやぴーは車の外に出たるい君と一緒に元気良く遊び始め、まもなくするとイネスとジャンルイも二人に加わった。栗はるいぱぱやフレッドから「こういうことはよくあることだから。」と聞き、大したことではないと安心したようで、新たな決意で「よし、出発してみる。」と車に乗り込んだ。上り坂はもう少し続いたが、一番上まで来るとそのあとは下りが続いた。不思議とブオン、ブオンという恐ろしい音と振動はなくなっていて、車はまるで何事もなかったかのように普通に走り始めた。栗は窓越しに「もう大丈夫。」とるいぱぱに合図をした。すると、るいぱぱからは「一応ロータリーまで送ってく。もっと飛ばした方がいいよ。」という返事があった。

 

るいぱぱと別れてから高速までの入口は、言われたようになるべくスピードを出し、高速に入ってからもしばらくそうすることにした。フレッド達の車とも別れ、一路ニースを目指す。ニース市内に入り、半高速を通って家のそばまで来ると、「ここなら車が止まっても歩いて帰れるね!」と栗が笑った。うん、ほんとにそう。私もあやぴーも笑った。私達はそのまま家には帰らず、ルノーのガレージに向かった。そこでは車も販売しているので日曜日も開いている。栗が係の人に「どうやらバッテリーに問題がありそうなので、明日の朝一番でガレージで見てもらおうと思ってます。今日はこのままここに車を停めさせてもらっていいですか。」と聞いてみると、「どうぞ、どうぞ。」と快諾してもらった。ガレージに近い場所に停めるよう指示されたので、そのようにしたのだが、もう少し後ろに停めなければならなかったらしい。おじさんがやってきてそう言った。栗が少し車を動かそうとエンジンをかけると、、、エンジンはかからなかった。一同苦笑。おじさんが「押せばいいよ。」と車を押し始めたので、私も手伝った。一件落着。私達はそこから歩いて家に帰った。色々あったけど、無事運動会にも参加できたし、家にも帰って来れたので、ラッキーだったのかアンラッキーだったのかよくわからない一日だった。でも、一生語り草になることには間違いがない。

 

 

1015日(陸上五回目)

 

車をガレージに預けた栗は、本日自転車出勤。学校へ行くあやぴーと一緒に出かけていった。私は掃除や洗濯、昼食の用意に夕飯の下ごしらえをこなし、その合間を縫ってメールを書いていたら、あっという間にお昼のお迎えになった。猛ダッシュで学校に向かう。先週は一週間日本語の勉強をしなかったので、あやぴーは最新の漢字「岩」の存在をすっかり忘れていた。その後、自ら進んで朗読した『スイミー』にも「岩」という漢字が出てきたのだが、読み方を思い出すことができず(3分前に復習したばかりだというのに!涙)、悔しさに地団太を踏んでいた。でも、朗読はかなりよくなった。前はいかにも棒読みで、その都度イントネーションを直さなければならなかったけど、読む回数を重ねるにつれ、段々と朗読調が身についてきたようだ。今日は安心して聞くことができた。

 

久しぶりの納豆ご飯にあやぴーは大喜び。即席で作ったカクテキや、高野豆腐の煮物、キュウリの漬け物、お味噌汁という渋い和食を二人でベランダで食べた。少し風があって肌寒かったのか、あやぴーは途中から上着を着出した。そこまでして外で食べなくても、、、と思ったのだが、しばらくすると太陽が戻ってきて、あやぴーは食後もベランダで遊び続けていた。

 

午後は競技場。月曜日の午後は陸上なのである。先週はお休みしたので二週間ぶり。子供達が次から次に笑顔で挨拶してくれてとてもうれしかった。今日の最後尾もあやぴーとルイーズだったが、途中で先生に叱られたトフィックとアミンが後ろに回されてきた。しかし、今日はひつこく話しかけてくる子もいなければ、生意気な口を叩く子もいなくて、道中快適だった。

 

先週は走り高跳びをしたそうだが、今週はまた走り幅跳びだった。少し練習した後、すぐに測定となった。先生が「ラインを踏んだら失格ですよ。」と厳しく言い渡したが、意外と失格の子が多く(あやぴーもその中の一人)、再走することになった。あやぴー、二回目は無事で、2,66メートルだった。今回はどの子もあまり奮わず、一番でも3メートルに届かなかったので、先生はちょっとガッカリしていた。それに、やる気がないのか、走り幅跳びの趣旨を理解していないのか、まったくジャンプしない子も未だに数人いて、先生はため息をついていた。。。

 

走り幅跳びを終え、短距離用のコースに移動。みんなでぞろぞろ歩いていると、体格の良いクロエがしょんぼりしていた。「Ca va?(サヴァ?=大丈夫?)」と声をかけると、首を横に振ったので、何かあったのか事情を聞いてみた。何人かの女の子に意地悪を言われたらしい。よくあることだよね。。。「気にしない。気にしない。」と背中を叩いていると、トフィックがやってきて、「そんなやつらcaca boudin(カカ・ブーダン)だ!」と言うので、思わず笑ってしまった。クロエも笑っていた。caca boudin(カカ・ブーダン)と言うのは、caca (カカ=うんち)とboudin(ブーダン=ソーセージの一種)をかけ合せた幼児語で、子供にとって初めてのジョークとも言える表現。あやぴーも通った道だし、未だに口にすることがある。でも私はなんかうれしかった。「トフィック、選んだ言葉はなんだけど、君はやっぱりいい子だね。」と誉めた。「女の子に優しい言葉をかけてあげられる男の子って素敵だよ。」と続けると、トフィックはエヘヘと照れ笑いし、「caca boudincaca boudin!」と叫びながら走り出したので、先生に怒られてしまった。あぁぁ。。。(苦笑)

 

短距離走はしっかり測っていないけど、50メートル位だろうか。先生から頼まれてゴールで立っていると、先生の説明が始まった。まずはスタートの姿勢から。先生がみんなにお手本を見せながら、両手と片ひざをついて腰を下げ、用意の合図が出たら腰を上げてスタートすると話していた。早速3人ずつスタート。どの子も真剣に走っていた。運動神経の良いジャン・マニュエルやエステバン、ティファニー、マノンなどは期待通り速かったし、あやぴーもなかなかだった。ところが、意外とみんなまっすぐ走れないことに気がついた。何故か両脇の子がまん中のラインに寄って来る傾向がある。三人がぶつかってゴール前に倒れるという事件まで発生した。被害者はヨハン。ひじを擦っただけで済んだが、その後も先生が「まっすぐ走るように!」と何度も注意しても、コース中のぶつかりあいは収まらなかった。そうこうしている間に時間になり、水道を経由して出口へと向かった。

 

帰りの最後尾もあやぴーとルイーズだったのだが、その前をアミンという男の子がうなだれながら歩いていた。見るからに元気がないので、「Ca va?(サヴァ?=大丈夫?)」と聞いてみた。すると首を横に振ったので、さっきのクロエを同じかと思い、「誰かに意地悪言われたの?」と言ったら、また首を横に振った。違うらしい。思い切って、「Qu’est-ce qui s’est passé ?(ケス・キ・セ・パッセ?=何があったの?)」と聞いてみたが、それには返事がなかった。どうしたんだろうと思っていると、ナウレーズという女の子も暗い感じで歩いている。こちらにも「Ca va?(サヴァ?=大丈夫?)」と声をかけたら、やはり首を横に振った。大丈夫じゃないらしい。二人も落ち込んでいるなんておかしいと思ってあやぴーに話を聞いてみた。ナウレーズとアミンの二人は短距離走の最終組だったらしい。今回もやはり三人がぶつかりそうになり、先生が「STOP !STOP !」と走るのを止めさせ、「あんた達、今まっすぐ走れって言ったばかりでしょう!」と猛烈に怒っていたことを思い出した。そして終わりの時間になったのだ。「先生が最後に「あんた達が言うことを聞かないから今日はこれで終わりにします。」って言ったんだよ。だから他の子から「おまえらがちゃんと走らなかったから終わりになった。」って言われて落ち込んでるんだと思う。」と、あやぴーが言った。そんなぁ。。。(汗)

 

私はこっそりナウレーズとアミンを呼び寄せ、先生が怒ったのはみんながぶつかると危ないからだということ、でも短距離走が終わったのは二人のせいではなくて時間が来たからなのだから、二人が落ち込む必要はないんだよと話した。それでも二人の顔は晴れなかった。困ったなぁと思っていたところに事件勃発。カイソが鼻血を出したのだ。先生がカイソにティッシュを渡したが、ティッシュは瞬く間に真っ赤に染まり、とても一枚では足りないようだった。歩く速度が下がったカイソは必然的に後ろへやってきた。他の子達は「ゲッ!」「気持ち悪い。」「うつるから近寄るな!」とカイソから離れつつ、興味津々な目でカイソの鼻と真っ赤なティッシュをひそひそ言いながら見ている。子供って冷たい。私はカイソにもう一枚ティッシュを渡し、真っ赤になった方を受け取った。あやぴーが「ママ、汚いからそんなの持たないでよ!」と怒ったが、そういうわけには行かない。それよりカイソの鼻血が止まらないのは問題である。私は先生を呼んだ。先生はカイソの頭をなでると、「C’est pas grave.(セ・パ・グラーヴ=大したことないから大丈夫よ。)」と優しく語りかけてまた先頭に戻って行ってしまった。私はあ然とした。放っておいていいんですか?!と思ったけど、いいらしい。可哀相なカイソ。。。結局、カイソの鼻血は学校近くになっても全く止まらず、それどころかひどくなる一方で、私はやきもきしたまま、子供達とお別れした。疲労感がどっと押し寄せてきた。あやぴーの通っている下町の公立校では、先生も生徒も強くならないといけないんだなぁと改めて思った。

 

夕方のお迎え時に、あやぴーにカイソがどうなったかを真っ先に聞いた。カイソはすぐ医務室に運ばれたらしい。看護婦さんに診てもらえるなら安心だ。今日もいつものように教会の広場に寄って家に帰って来ると、栗が既に帰宅していたので、あやぴー共々驚いた。なんでも職場の配水管が壊れ、栗のオフィスが浸水したらしい。ひえ〜っ!(汗)。避難勧告が出たのと、オフィスが水びたしで仕事にならないので帰って来たとか。車の次は、オフィスの浸水。栗のバースデープレゼントはまだ続くのだろうか。ちょっと心配。しかし、車の方はと言えば、バッテリーの交換だけで済み、無事ガレージから戻ってきた。念のため他の部品もチェックしてもらい、壊れていた後部のランプも取り替えてもらい、ピッカピカになって帰って来たそうだ。今後は無事でありますように。。。(苦笑)

 

 

1016日(教会の広場)

 

火曜日の夕方は教会でカトリックの勉強会があるため、普段より子供の数が多い。ルイーズもこの勉強会に通っていて、毎週火曜日は教会の広場にやってくる。開始時間の午後5時までは一緒に遊ぶことができるのであやぴーは大喜びである。同じクラスのクロエとリザもいるし、違うクラスの子もいる。幼馴染のフランソワも今年から勉強会に通うことになった。あやぴーはと言えば、全く興味がないそうだ。

 

勉強会が始まることを告げる鐘がなると、子供達は一斉に教会の中に入っていった。あやぴーは一人ぼっちになってしまったが、勉強会が終わるのを待つと言って帰りたがらなかった。仕方がないので、私はフランソワのママ、ナタリーとおしゃべりして過ごしたのだが、寒くて寒くてかなわなかった。そのくせ、まだ蚊がいるから困りもの。終了時間の午後6時には体が凍ったかのような冷たさになっていた。日中は太陽の下ではまだ半そでで過ごせるが、朝晩はかなり冷え込むようになってきた。ブルブルブル。

 

今年も秋休み前に2日ほど学校を休ませることになった。公式な手紙は期日が近づいたら渡すとして、私の方から先生に打診しておくことになった。昨年はマルティーニ先生にメチャクチャ怒られたので気が重かったが、リグッチ先生の反応は全く異なっていた。「2日くらい全然大丈夫ですよ〜。あやぴーは優秀だから全く心配ありません。休みの時のプリントは取っておきますので、帰って来たら時間を見つけて勉強させてあげて下さいね〜。」と笑顔でOKをもらった。あまりにもすんなり行ったので信じられないほどだった。こういうことも先生によって全然違うんだとビックリした。今年の担任がリグッチ先生で本当に良かった!

 

 

1017日(陶芸教室)

 

朝は家でのんびりし、お昼ご飯を食べてからあやぴーを陶芸教室に連れて行った。陶芸教室は午後2時から3時半までと言う超中途半端な時間のため、この新学期から水曜日は誰とも遊べなくなってしまった。お昼を食べに行っても午後2時に間に合うよう切り上げなければいけないし、午後3時半では遠出するにはちょっと遅い。まぁ、周りの友達もみんな水曜日は習い事で忙しいので、遊べない可能性も高いのだが、せめて午前中だったら良かったのにと思わずにはいられない・・(涙)。しかし、あやぴー本人は陶芸教室に大変満足しているようだ。今日も「作品展のためにhomme préhistorique(オム・プレイストリック)」を作ったの!」と興奮気味に話してくれた。homme préhistorique(オム・プレイストリック)と言うのは「先史時代の人」という意味で、そんなものを作るなんて、どんな作品展になるんだろうと興味が湧いた。

 

 

1018日(商売に目覚める)

 

全国的なストだったが、あやぴーの学校では授業があった。いつものように朝送っていき、お昼前に迎えに行き、日本語の勉強をしてからお昼ご飯。今日はフィットネスに行っていてご飯を炊く時間がないので簡単なランチ。ゆで卵と昨日作っておいたタブレーを二人で食べた。タブレーは一晩寝かせたおかげで味がよく染み込んでいて、あやぴーも喜んでくれた。午後一番で学校へ送って行き、私はその足で近所のスーパーで買い物をし、家に戻った。そしてあっという間に夕方のお迎えの時間がやってきた。

 

今日も教会の広場に寄った。最近の基本メンバーはテオ、フランソワ、ルカ。今日はそれに加え、双子のエンゾー&ロイックや、一学年下の女の子ロリアン、マルゴーも参加してにぎやかだった。男の子達はラグビーを思わせる激しいボール遊びをしていたが、女の子達はきれいな紙の交換をし合ったり、徒党を組んでチョロチョロ移動したりとおとなしく遊んでいた。誰かからHARIBOのキャンディの入った小袋をもらったあやぴー。(多分ルカのおばあちゃん。)。しばらくマルゴーとそれぞれ小袋を手にしてブラブラ歩いていたのだが、ベンチに戻ってきた。自分のかばんを開けてペンを取り出すと、紙にササッと何か書き、またブラブラ歩き出した。

 

何をしているのかと思えば、あやぴーはもらったキャンディを売ろうとしているのであった。「ちょっと〜、何してんのよ!」と私が咎めると、あやぴーは興奮した面持ちで、「ママ、見て見て!もう売れたんだよ!」と手の平を開いた見せてくれた。そこには、きれいな青いビー球が三つと10セントのコインが一枚あった。「誰がくれたの?」と聞くと、「くれたんじゃないよ。キャンディを売ったお金なの!」とあやぴーは憤慨しながら、一つ上のジョアンナだということを教えてくれた。最初は5ユーロで売るつもりだったのだが、フランソワのママ、ナタリーから5ユーロは高すぎるから誰も買わないよと言われ、1ユーロに値下げしたらしい。1ユーロでキャンディ3つ、10セントでキャンディ8つと言ったので、私は双子のパパ、ローレンスと顔を見合わせてしまった。その計算はおかしい。「おかしくないよ。1ユーロくれる人はどうせいないから、ちょっとでいいの。」と、あやぴーは聞く耳を持たなかったが、高校で物理を教えているローレンスが優しく根気よく説明してくれたおかげで、ようやく理解した模様。再びペンを取り出すと、10セントでキャンディ3つ、1ユーロでキャンディ8つと数値を入れ替えていた。

 

あやぴーは売り込みにますます力を入れた。「Qui veut des bonbons ? Qui veut des bonbon ?」(キ・ヴ・デ・ボンボン?=キャンディが欲しい人はいますか?)と威勢良く叫び出した。「ちょっと〜!恥ずかしいから止めてよ!」と何度も注意したのだが、あやぴーは「別にいいじゃん。」と言って、売り込みを止めなかった。フランソワのママ、ナタリーと目が合ったので、「うちの家計を助けるためには仕方がなくてね。。。」と冗談を言ってみんなで笑ったが、私はちょっと困ってもいた。

 

あやぴーは、夜、帰宅した栗に早速キャンディの話をした。栗はお金、お金というタイプでは全くないため、私のリアクション同様、笑いながら困っていた。夕飯は、まだお昼のタブレーが余っていたのでそれプラス、Merlan(メルラン=タラ科の魚)のムニエルを作った。あやぴーも栗も、「いい匂い!」と食べる前から喜んでくれて、ムニエルだと言うのにお醤油をたらして食べていた。あやぴーの頭の中には「魚=醤油」という構図になっているらしい。でも、久しぶりのお魚を喜んで食べてもらえたのはうれしかった。歯を磨きながら、「明日も教会の広場に行って、キャンディを売るんだ!」と大張り切りのあやぴー。困ったものである。。。

 

 

1021日(パパのお誕生日会)

 

少し前から栗には内緒でお誕生日会の企画を進めてきて、とうとうその日がやってきた。全く何も知らせないと何一つ準備ができないということもあり、栗にはここのところエリックに色々お世話になったから、御礼のつもりで彼らをランチに招待したいと話した。週の初めに栗からエリックに電話をしてもらったのだが、エリックとカティは、栗からお誘いの電話がかかってくることも、日曜日がただのランチではないことも、もちろん全て承知している。あやぴーにも何も話さずに過ごしてきた。「敵を欺くにはまず味方から。」という諺があるし、秘密はしゃべりたくなるもの。子供は特に当てにできない。。。(笑)。あやぴーはカティが大好きなので日曜日の計画を喜んだ。「日曜日はカティに金魚が大きくなったよって見せてあげるんだ。絵も描いてあげよう。」と、パパ以上に張り切っていた。

 

フランスでは男性の40才と言うのはとても大切な年齢らしく、大規模のお誕生日会をして祝う人が多い。私達もこれまで数々の40才記念パーティーにお呼ばれしてきた。しかし、栗は前々から、自分が40才になった時は何もお祝いしたくないと言っていた。人と同じことをするのが嫌いな性格と言うのもあるのだけど、自分の人生を振り返ってみると、栗は色々思うところがあるらしい。私にも栗がそう思う理由がよくわかるので、彼の意思を尊重しようと思った。でも全く何もしないと言うのも寂しい。栗が喜んでくれそうなことは何だろうと考えた。答えはすぐに見つかった。栗が大学時代につるんでいた親友三人とその家族を招待し、うちでこじんまりお祝いするのがいいんじゃないか。カティにそのアイデアを話すと、それは名案だと頷いてくれて、一緒に日にちを決めることにした。その後、モンペリエにいる栗の一番の親友にこっそりメールを出して打診すると、「何があっても駆けつける。」という返事が来た。残りのもう一人は、あいにく子供達が胃腸風邪にかかってしまって当日欠席となった。残念!

 

待ち合わせ場所は我が家の近く。「リサイクルごみを出してくる。」と家を出て、みんなのところに向かった。既にモンペリエのピエール一家が来ていた。ピエールに会うのは数年ぶりだったので私にとっても感動のご対面だった。前妻イザベルとの間の息子ニコラも一緒に来ていたのだが、ママのお腹にいた時から知っているニコラが12才になっていたことには驚いた。二度目の奥さんとの間にできた娘はもう4才半になるそうだ。ピエールはあまり変わっていなかったが、時間は確実に流れているわけで、昔を思ってシミジミした。しばらく待っているとエリックとカティがやってきた。エリックは風邪を引いていて中耳炎にまでなったらしいのだが、うちの栗のために出てきてくれた。友情に感謝。

 

一同群れをなして我が家へ向かう。門の鍵を開けて中に入った。玄関のドアはピエールの娘マリーに開けさせた。栗はきょとんとしている様子。カティがマリーに近づき、「養子をもらったの。」と言ったが、まだ事態を理解していない雰囲気だった。しかし玄関から外に出てきた栗はピエールを見てビックリした。大きな目をさらに大きく開けて、「Ça, alors !(サ・アロー!=驚きを表わす言葉)」と何度も言った。みんなが笑った。

 

栗が「食事、みんなの分あるかな。」とトンチンカンなことを言い始めたので(よっぽどビックリして頭が働かなくなったんだね〜。笑)、「あるに決まってんじゃん!」と私が突っこみ、「どっちみち、カティお手製のフォンダン・ショコラ(しっとりしたチョコレートケーキ)を一切れ食べれば今日のカロリーはクリアだから。」とエリックが言った。いかにもお医者さんらしい発言。

 

アペリティフには、ピッサラディエール(ニース名物玉ねぎのピザ)や、ひまわり油で揚げたオーガニックのポテトチップスなど栗の好きなものを揃えた。冷凍枝豆や大根のカクテキも意外と好評でうれしかった。栗とピエールとエリックは、彼らにしか通じないであろう強烈なギャグを言い合ってはウヒャウヒャ笑っていた。栗とエリックが二人の時もなかなかすごいものがあるが、ピエールはさらにパワフルだし、メチャクチャ頭の回転が速く、博学なため、ついていくのが大変だった。「ピエールとやりあうにはまだまだ時間がかかりそう。もっとフランス語の語彙を勉強しないと!」と私が言うと、新しい奥さんが「私も相当苦労してるわよ。」と笑った。この奥さん、彼らが付き合い始めた当時に紹介された時は何となく冷たい印象を抱いたのだが、今日は雰囲気が全然違うので驚いた。穏やかで優しくて女性らしくて笑顔がきれい。ピエール達も幸せに過ごしてきたのだと感じて、とてもうれしかった。

 

みんなが席を立ってベランダに行ってしまったので、テーブルを片付け始めると、カティやピエールの奥さんイザベルが手伝ってくれた。いつも家に人を呼ぶときは、栗と私はうまい具合にチームを組んでそれぞれの仕事に励むのだが、今日の主役は栗。そして男子の友情。カティもイザベルも同じことを思っているようで、女子は女子でおしゃべりしながら私の手伝いをしてもらった。

 

「あの〜、まだメインがあるんですけど。。。」と私が言うと、みんなが驚いた。栗は「もう食べれないよ!お腹いっぱいだよ!」と怒ったが、用意してあるんだから仕方がない。再び席についてもらった。メインは和食。五目寿司と鶏肉の唐揚げと肉団子の甘酢ソース。肉団子は豚肉だけでなく木綿豆腐を入れて軽めに仕上げた。ブーブー言った割りにみんなよく食べていて、栗はお代わりまでしていた。ピエール夫婦や子供達も喜んでくれたのでうれしかった。

 

食後はカティが持ってきてくれたフォンダン・ショコラ。ものすごい大きな型だったので驚いた。40という数字の飾りとロウソクを4本立ててテーブルに持っていった。「Joyeux anniversaire〜(ジョワイユーザニヴェーセー)」とハッピーバースデーの歌をフランス語で歌った。みんなも一緒に歌ってくれた。栗は「感激のあまり火を吹き消す力が出ない!」などと言って泣きまねをし、なかなか火を消さなかったのだが、あやぴーが手伝ってようやく火を消すことができた。みんなが拍手をした。ピエール一家とエリック夫婦からそれぞれ強烈なプレゼントをもらい、一同爆笑だった。この人達って本当に変。普通じゃない。滅多に仲間が見つけられないほどの類友で、「この人を人生の伴侶にして良かったのだろうか。」という恐ろしさすら感じられる。カティやイザベルもそれは同じだろう。だけど栗は笑いっぱなしだった。とってもうれしそうだった。

 

食後のコーヒーを飲んだ後、ピエール達が一足先に帰ることになった。名残惜しいけど仕方がない。ニースまで来てくれたことに御礼を言い、再会を約束して別れた。彼らが帰った後、栗がエリックに「しかし、よくピエールと連絡ついたね。連れてきてくれてありがとう。」と言ったので、エリックはあわてて「違う、違う。呼んだのはTOMOだよ。僕達は何もしていない。」と訂正した。「もう一人のエリックも来るはずだったんだけど、子供達が胃腸風邪になっちゃったんだって。」と私が言うと、栗は驚いていた。私が企画したとは全く思っていなかったらしい。。。(笑)

 

エリックとカティが帰ってしばらくし、興奮が落ち着いてくると、栗には全てがクリアになったようだった。ピエールが家族みんなでモンペリエから道中3時間ちょっとかけてまでニースまで来てくれたのも、エリックが風邪をおしてまで出て来てくれたのも、全て栗の40才を祝うためだったということをようやく理解したようだった。栗は改めてショックを受け、感激し、「素晴らしいプレゼントをありがとう。」と言った。私も喜んでもらえて本当にうれしかった。40才の誕生日当日には車が壊れ、翌日はオフィスが水浸しになるというアクシデントに見舞われた栗だが、全てはこの日で帳消しになった。でも、それは私だけの力ではない、ピエールやエリックのおかげでもある。数は少なくても「親友」と呼べる人がいるのは幸せなことだよね。改めて、お誕生日おめでとう。

 

 

1025 日〜116 日の間はバカンスにつきお休みです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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